減点主義では、能力と人間性が結びつけられる

性善説と減点主義

性善説を背景とした減点主義は、人を比較し優劣をつけます。

ペナルティスト(減点主義者)の上司は、部下同士を一つの尺度で比較し優劣をつけます。

ペナルティスト(減点主義者)の親は、子供同士を比較します。自分のこどもと他人のこどもを比較し、なにが劣っているかを指摘します。

ペナルティストは人と人とのある一つの能力の差を、「人格」・「人間性」の差としてとらえます。性善説における能力の差は、善を発揮できていない、人間性が劣っているととらえます。

だから、テストの点数が低いと、そのこどもの人間性も否定します。仕事で、特定の業務で能力が低いと思うと、その人の人間性も否定しようとします。

通常は、能力といっても分野は多岐にわたり、ある分野で能力がひくくても、人間性とは無関係です。

会社を経営していても性格がわるい。算数のテストの点数は悪くても誠実である。しかし減点主義、性善説では、なにかの分野で能力が低い=人間性も悪いと結びつけてしまいます。

この「比較して優劣をつける」ことが減点主義の重要なポイントです。

減点主義者は他者を否定する

減点主義の人は、他者との比較で優位にたつことで、自身の善を証明します。

他者との比較で優劣をつける減点主義の人は、自分の善、人間性を証明するために、他者を否定します。

他者を否定、減点することが、自身の人間性が良いことを証明する唯一の手段です。

だから、他人のミスをきつく指摘する、他人のあら捜しをする、他者の能力が低いことを強く指摘することが、ペナルティストにとってとても大事な作業になります。

減点主義者は「他者の否定」を肯定する

他人のミスをきつく指導する、人の優劣をことさら言う、人前での罵倒や指導などは、ペナルティストにとっては

他者本人の人間性の向上のため

と考えています。

他者の問題点をきつく指導する、また他の問題があれば、よりきつく指導する。

それが本人の善を発揮する手段であると肯定します。

「問題が改善されなければさらにつよく指摘する」という方法では、指摘される人は結果的にはただただ萎縮し、よりミスが増え、さらにはうつ病になってしまうことが、今のいくつもの会社で現れています。

しかし、減点主義者はそれが「人間性向上の唯一の方法」と考えているため、会社ではうつ病がへらないのです。

減点主義者がかんがえる、「他者の否定が人間性向上の唯一の方法」とは、結果的には

減点主義者本人の人間性の向上のため

であるのです。

性善説=減点主義の組織は熾烈を極める

そもそも人の能力は、多岐の分野にわたります。

しかし企業で、例えばデザイナーが人前でうまくはなせないのを見ると、デザインの能力ではないのにもかかわらず、このデザイナーは能力が低い、人間性が低いと決めつけます

本来はデザイナーはデザインが重要な能力であるにもかかわらず、減点主義者のその場限りの思いつきや、減点主義者が重要と思いこんでいる尺度のみで優劣をつけてしまいます。

人前でうまく話せないデザイナーは、スキルが低い。かれは今まで何をやってきていたのか。まるで成長していない。

これを実際に言っている会社の社長がいました。

普通は、能力も千差万別、どれでもすべてが完璧であることはありません。

しかし性善説・減点主義では、それはただの「言い訳」になってしまいます。

「だってできないよね?」

完璧にできて当たりまえ。すべてが完璧にできることが減点主義的性善説です。

理不尽な指摘は受け止めないこと

減点主義者は、どんなささいなことでもきつく指摘してきます。

それが彼らの唯一の生存方法なのです。

それをまともに受け止めると、前述したように萎縮、自己肯定感の欠如、うつ病になってしまいます。

まずは彼らがどういう動機で動いているかを理解しましょう。

そして、自身にも彼らのような行動をしていないかチェックしてみましょう。

そこから行動に必ず変化があります。

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